「特に大きな不満はないけれど、家も古くなってきたし、なんとなく綺麗にしたいな」。リフォームを考えるきっかけとして、こうした漠然とした動機は、実は最も危険なサインです。なぜなら、目的が曖昧なまま始めるリフォームは、失敗への道を突き進んでいるのと同義だからです。もし、あなたが抱いているのがこの「なんとなくリフォーム」であるならば、今はまだ「リフォームしないほうがいい」と断言できます。目的が曖昧なままリフォームの相談に行くと、どうなるでしょうか。あなたの中に明確な判断基準がないため、リフォーム業者の営業担当者が提案する通りに話が進んでしまいがちです。「こちらの最新のキッチンは、こんなに素晴らしい機能がついていますよ」「どうせなら、床も一緒に張り替えた方が見栄えが良くなりますよ」。こうした魅力的な提案に、次々と「それも良いですね」と同意してしまい、気づいた時には、当初の予算を大幅に超える、不要なオプションだらけの見積もりが出来上がっているのです。そして、そのまま契約して工事を進めた結果、完成した家を見て、「こんなはずではなかった」「確かに綺麗になったけれど、本当にこれが必要だったのだろうか」という、漠然とした後悔だけが残ります。これを避けるために、リフォームを考える上で最も重要なのは、「目的を具体的に言語化する」ことです。なぜ、リフォームしたいのか。それは、「キッチンの収納が少なくて、物が溢れているのを解決したい」からなのか。「冬場のお風呂が寒すぎて、ヒートショックが心配だから、断熱性を高めたい」からなのか。「夫婦二人の生活になったので、使わなくなった子供部屋を、趣味の部屋として活用したい」からなのか。このように、現状の「不満」や「課題」、そしてリフォームによって実現したい「理想の暮らし」を、できるだけ具体的に書き出してみることです。その目的がはっきりとすれば、リフォームで本当に必要なものと、そうでないものが自ずと見えてきます。その作業を抜きにした「なんとなく」のリフォームは、絶対に始めてはいけません。
「なんとなく」のリフォームが一番危ない!目的が曖昧ならしないほうがいい