クッションフロアは、その名の通りクッション性に優れた塩化ビニール素材の床材です。安価で防水性が高いため、賃貸住宅の多くの箇所に採用されていますが、退去時に張替え費用を巡って揉めやすい原因がいくつかあります。まず、この素材は「熱」と「重み」に非常に弱いという特性があります。特にキッチンなどでマットを敷かずに調理を続けていると、足元の特定の部分だけが摩耗したり、油汚れが浸透して変色したりすることがあります。また、重い家具や家電を長期間置いたことによる凹みは、基本的には通常損耗とみなされますが、キャスター付きの椅子を保護マットなしで使用して表面を剥離させてしまった場合は、入居者の過失とされるケースが多いです。退去時の負担を最小限に抑えるための最大のアドバイスは、入居中の「善管注意義務」を果たすことです。これは「借りているものとして社会通念上当然の注意を払う」という義務で、例えば床に液体をこぼしたらすぐに拭き取る、定期的に掃除をするといった基本的なメンテナンスが含まれます。これを怠って放置した結果、カビが根を張って落ちなくなったような場合は、張替え費用を全額近い形で請求されるリスクが高まります。また、退去が決まったら、市販のクッションフロア専用クリーナーやメラミンスポンジを使って、落とせる汚れはすべて落としておくことが重要です。立会いの際の第一印象が「綺麗に使われている」ということであれば、細かな指摘を免れる可能性が高まります。さらに、張替え費用の計算において「単位」を確認することも忘れないでください。ガイドラインでは、損傷が一部であっても、色合わせの関係から一面を張り替えること自体は認められることがありますが、費用負担の範囲については「損傷した箇所を含む最低限の施工単位」に限定すべきだとされています。一部屋すべての張替え費用を請求されたとしても、実際に過失があったのが数平方メートルであれば、その範囲に絞った交渉が可能です。
クッションフロアの特性から考える退去時のトラブル回避アドバイス