私たち家族は、夫婦と、小学生の息子と娘の4人暮らし。リビングに隣接したダイニングテーブルは、食事の時間以外は、子どもたちの勉強道具やランドセルで、いつもごった返していました。リビング学習が良いと聞いて実践してみたものの、親はテレビの音量を気にし、子どもは親の視線が気になって集中できない。そして何より、夫婦がソファでゆっくりとくつろげる時間は、ほとんどありませんでした。建て替えや住み替えも考えましたが、予算的な問題と、何より、子どもたちが慣れ親しんだこの環境を変えたくないという思いから、私たちは「増築」という選択をしました。計画したのは、庭の一部を利用して、リビングの掃き出し窓の先に、6畳ほどのスペースを増築すること。リフォーム会社と何度も打ち合わせを重ね、その新しい空間を、特定の目的を持たない、多目的な「ファミリースペース」とすることに決めました。壁の一面には、横長の大きなデスクを造作してもらい、兄妹が並んで勉強できるスタディコーナーに。南側の壁は、床から天井までの大きな窓にして、庭の緑と光をたっぷりと取り込めるようにしました。約2か月の工事期間を経て、私たちの新しい空間が完成した日、家族みんなで歓声を上げました。たった6畳。されど6畳。その新しいスペースが、私たちの暮らしにもたらした変化は、想像以上のものでした。まず、ダイニングテーブルが、本来の「食事をする場所」としての機能を取り戻し、リビング全体が驚くほどすっきりと片付いたのです。子どもたちは、新しいスタディコーナーがすっかり気に入り、親に言われなくても、自分から机に向かうようになりました。そして、私たち夫婦は、ようやくリビングのソファで、心置きなくコーヒーを飲んだり、映画を観たりする時間を取り戻すことができました。休日には、そのファミリースペースが、子どもたちの秘密基地になったり、私が趣味の読書に没頭する場所になったり、妻がヨガマットを広げる空間になったりと、その時々で役割を変えて、家族それぞれの時間を豊かにしてくれています。何より嬉しかったのは、家族が同じ空間にいながら、それぞれが自分のことに心地よく集中できる、程よい距離感が生まれたことです。物理的な広さ以上に、家族の心に「ゆとり」が生まれた。6畳の増築は、私たちに、そんなかけがえのない宝物をプレゼントしてくれたのです。