コーキングを使った内壁のひび割れ補修は、手順さえ守れば誰でも高いクオリティで仕上げることができます。しかし、失敗する人の多くは準備を疎かにし、いきなりコーキング材を壁に塗りつけてしまいます。成功の鍵は、塗る前の「下地作り」と「養生」にあります。まず最初に行うべきは、ひび割れ箇所の清掃です。壁の隙間には目に見えない微細な埃や、壁材の破片が詰まっています。これらを古くなった歯ブラシや掃除機で丁寧に取り除いてください。汚れが残っていると、せっかくのコーキングが壁に密着せず、数ヶ月後には隙間が空いてしまうことになります。次に欠かせないのが、マスキングテープによる養生です。ひび割れの両サイド、わずか一ミリメートルから二ミリメートルほど離した場所に、真っ直ぐテープを貼ります。このひと手間を加えるだけで、コーキングが周囲に広がるのを防ぎ、仕上がりのラインが驚くほど美しくなります。準備が整ったら、いよいよ充填作業です。コーキング材のノズルの先端は、ひびの幅に合わせてカッターで斜めにカットします。こうすることで、壁に対してノズルを当てやすくなり、奥まで材料を押し込みやすくなります。ひびに沿ってゆっくりと引きながら、少し盛り上がる程度の量を出していきます。その後、専用のヘラ、あるいはない場合は濡らしたスポンジや指を使って、表面をなでるようにして平らにします。この際、何度も往復させると表面が荒れてしまうため、一回で決めるつもりでスッと動かすのがコツです。最後に、コーキングが完全に乾いて固まる前に、慎重にマスキングテープを剥がします。完全に乾燥した後にテープを剥がそうとすると、せっかく充填したコーキングまで一緒に剥がれてしまうことがあるため、タイミングには十分注意してください。作業が終わった後は、半日から一日ほどは触れずに放置し、しっかりと硬化させます。この一連の流れを丁寧に行えば、以前そこにひび割れがあったことさえ忘れてしまうような、滑らかな壁面が蘇るはずです。