リフォーム会社のチラシやウェブサイトで「坪単価三十万円から」といった魅力的なキャッチコピーを目にすることがあります。新築に比べて安く住まいを再生できると感じ、つい惹かれてしまいますが、こうした低価格の坪単価表示には注意が必要です。専門家のアドバイスとしてまず伝えたいのは、坪単価の数字は操作が可能であるという事実です。リフォーム費用は、目に見える材料費だけでなく、職人の手間賃、現場の管理費、さらには既存建物の解体費用など、多岐にわたる項目で構成されています。安価な坪単価を掲げる会社の中には、これらの必須費用を「付帯工事」として別途請求する仕組みにしているところも少なくありません。契約後に「これも必要、あれも別料金」と追加費用が重なり、最終的には高額な坪単価を提示していた他社よりも高くなってしまったというトラブルは後を絶ちません。特に注意すべきは、建物の構造に関わる部分です。リフォームは壁を剥がしてみて初めて、柱の腐食やシロアリの被害が発覚することがあります。標準的な坪単価設定にはこうした不測の事態への対応費は含まれていないことが一般的です。また、設備のグレードも坪単価に大きく寄与します。坪単価に含まれている設備が最低ランクのもので、実際にショールームで気に入った商品を選ぶと、差額だけで数十万円から数百万円加算されることも珍しくありません。リフォームで後悔しないためには、坪単価という「点」の数字で比較するのではなく、総額という「面」で見積もりを精査する癖をつけるべきです。見積書を受け取ったら、まずは「標準仕様」に何が含まれているのか、そして自分の希望するリフォームがその範囲内で収まるのかを執拗なまでに確認してください。また、坪単価が異常に安い場合は、工事の品質や職人の技術料が削られている可能性も疑う必要があります。住まいの安全性や耐久性を守るためには、適正なコストというものが存在します。安さの理由が納得できる企業努力によるものなのか、単なる費用の先送りなのかを見極める眼養うことが、長期的に見て最も経済的なリフォームを実現する秘訣と言えるでしょう。