退去立会い代行という第三者の視点から、クッションフロアの損傷がどのように査定されているか、その内側を詳しくお伝えします。私たちが現場でチェックするのは、まず第一に損傷の「深さ」と「原因」です。クッションフロアの表面だけが薄く擦れている程度であれば、それは日常生活の範囲内であると判断します。しかし、ビニールの層を突き抜けて下地が見えてしまっている傷や、タバコによる貫通した穴などは、問答無用で「過失による損傷」としてカウントされます。また、意外と厳しいチェックが入るのが、トイレのクッションフロアの変色です。便器の接地面に沿って黒ずみが出ている場合、尿の放置による腐食と判断されることが多く、これは衛生管理の怠慢として入居者負担になる確率が高いポイントです。さらに、冷蔵庫下のカビも要注意です。冷蔵庫からの水漏れを放置していた結果、クッションフロアにシミができてしまうと、これも善管注意義務違反とみなされます。私たちが査定を行う際、管理会社から「できるだけ張替え費用を取ってほしい」という暗黙の圧力を受けることも稀にありますが、現在は入居者側もネットで情報を集めているため、不当な査定はすぐに論破されてしまいます。そのため、最近のトレンドとしては、損傷箇所を一枚のシート(通常は一間から二間の幅)単位で区切り、その一面分の費用に減価償却を掛け合わせるという、非常にロジカルな算出方法が主流になっています。もし退去立会い時に、担当者が減価償却を無視した見積もりを提示してきたら、それはその会社の知識不足か、あえて不当な請求をしているかのどちらかです。また、入居時にすでにあった傷についても、証拠がないと揉めることになります。クッションフロアは後から傷が付きやすい素材だからこそ、入居初日に床全体の写真を撮り、日付付きで保存しておくことが、退去時の自分を守る最強の武器になります。査定の現場は交渉の場ではなく、事実を確認する場であるべきです。
現場の立ち会い代行者が明かすクッションフロアの損耗査定の実態