一戸建ての特権と思われがちな土間ですが、実は中古マンションのリノベーションにおいても、土間を作る選択は非常に賢い空間活用術と言えます。マンション特有の悩みである「玄関の狭さ」と「収納不足」を同時に解決できるからです。典型的なマンションの間取りでは、玄関を入るとすぐに狭い廊下が続いていますが、リフォームで玄関横の居室の一部を取り込み、広い土間へと拡張することで、劇的な変化が生まれます。この拡張された土間スペースにオープンな可動棚を設置すれば、家族全員の靴はもちろん、ゴルフバッグやキャンプ道具、スーツケースといった大型の荷物を一括して収納できる「シューズインクローゼット」としての機能を持たせることができます。さらに、土間の床を室内のフローリングよりも一段下げることで、空間に奥行きが生まれ、視覚的な開放感も得られます。マンションの場合、管理規約によって床の防音規定が厳しく定められていることが多いため、土間を作る際にはモルタルやタイルの下に適切な遮音材を使用するなどの配慮が必要です。また、北側に位置しがちな玄関周りは結露が発生しやすいため、壁に吸湿性の高いエコカラットなどの素材を採用したり、換気扇を新設したりする対策も有効です。実際にマンションの玄関を土間化した事例では、玄関が単なる通過点ではなく、お出かけ前の身支度を整えたり、帰宅後に荷物を整理したりする機能的な「多目的ルーム」として重宝されています。また、廊下という無駄なスペースを削減し、土間を通じてリビングへと直接つながる動線を作ることで、生活全体の利便性が向上したという声も多く聞かれます。限られた面積の中で最大限の豊かさを引き出すための土間リフォームは、中古マンション購入後のカスタマイズにおいて、今後ますます注目される手法となるでしょう。土間という空間は、住む人の美意識を反映しやすい真っ白なキャンバスのようなものです。自分ならこの場所に何を置き、どのように過ごすか。
中古マンションの玄関を拡張して大容量収納と土間スペースを両立